第39回高精度放射線外部照射部会学術大会

ご挨拶

写真

この度、第39回高精度放射線外部照射部会学術大会の大会長を務めさせていただくことになりました。本大会を担当させていただくことを、大変光栄に存じます。

高精度放射線外部照射部会の創成当初は、IMRTやSBRTの保険承認を1つの目的としていました。その目的は達成され、現在では日常臨床において、それらは一般的な照射法として定着しています。さらに近年は、技術進歩の恩恵をじかに受けて、放射線治療はより一層高精度かつ効率的になり、腫瘍制御と副作用軽減の両立が実現しつつあります。そして、世の中の流れや医療全体にも目覚ましい変革が起こっています。

これから医療、そして放射線治療はどのように進化を遂げていくでしょうか?我々そして本部会は、社会の変化に柔軟に対応し、放射線治療の意義を示していく努力が求められています。

医学生は、放射線治療のイメージについて尋ねると、「手術できない患者さんへの治療」「縮小させるが根治は難しい」「怖い」「副作用が強い」といった印象を持っているようです。患者さんも然りです。しかし、放射線治療は格段に進歩し、多くの癌種で根治を望める効果が得られるようになっています。怖いというイメージも誤解であり、そもそも患者さんに優しく、日常生活を維持しながら受けることができる治療です。今後、適切な情報が患者に届き、複数の選択肢の中から、自らのライフスタイルや価値観にあった治療法を選択できる時代を作っていく必要があります。

本大会では「Beyond Precision 高精度放射線治療の次なる展開」をテーマに掲げました。AI・ビッグデータの活用、技術革新、粒子線治療、個別化医療、治療計画の改良と加速化、さらに「患者さんに選ばれる治療法」のあり方など、多角的な視点から議論を深めるセッションを企画し、演題を募集します。本学会を通じて、参加者の皆様が「今はない何か」を想像し、次世代の放射線治療の可能性を見出していただけることを願っています。

本大会のポスターは、平家物語の中の源平合戦の一環である「屋島の戦い」で活躍した武将、那須与一の活躍を表しています。この戦いで、波に揺れる平家の軍船に掲げられた扇の的を、源氏方の命を受けて一矢で見事に射抜き、味方の士気を大いに高めました。与一の技量と勇気が源氏の勝利に貢献し、後世にわたって英雄的存在として称えられていることにあやかり、我々も、動く標的に対して正確に狙いを定め、治療成績向上を目指して士気を高めてゆくことを願います。

会場は、御茶ノ水駅前の「御茶ノ水ソラシティ」です。広々とした開放的なエントランスが皆様をお迎えし、学術的な知見を深めるとともに、活発な議論や交流を行うのに最適な環境となっています。御茶ノ水は、秋葉原のポップカルチャーの発信拠点や神田古書店街等に囲まれ、文化と知識が融合するエリアです。ソラシティの地上広場からはニコライ堂や湯島聖堂を望むことができます。歴史と革新が交差するこの地で、最新の放射線治療について熱い議論が交わされることを楽しみにしています。

本大会が、高精度放射線治療のさらなる発展に貢献し、参加される皆様にとって実りあるものとなることを心より願っております。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

武田篤也
公益社団法人日本放射線腫瘍学会
第39回高精度放射線外部照射部会学術大会 大会長
慶應義塾大学医学部 放射線科学教室(治療) 教授

Return Top